世間的には全く無名の名演奏家がまだまだたくさんいます。
昨年その存在を知ったゲアハルト・タシュナーというバイオリニストがいます。もうだいぶ前に鬼籍に入った人ですが戦前から終戦までフルトヴェングラーのベルリンフィルでコンサートマスターをしていた方です。
あるきっかけがあってその方の復刻版のレコードとCDを買ってみました。
恐る恐る針を落とすと聞こえてきたのは凛として背筋の伸びたまことに気品のある演奏です。こういうのをノーブルと言うのでしょう。
ベートーヴェンのバイオリン協奏曲の第二楽章は旋律の甘さにおぼれない見事なたたずまいですし、ブルッフの協奏曲もこの曲の白眉と思われていたティヴォール・ヴァルガや高額で取引されるクリスチャン・フェラスをもしのぐ素晴らしさです。
またチゴイネルワイゼンはヒマリちゃんやフランチェスカッティを凌駕してナンバーワンの出来でした。
この方は調べてみるとベルリンフィルのコンサートマスターの試験に合格してフルトヴェングラーに採用された方で、戦後に常任指揮者に就任したカラヤンとは音楽性が合わないとベルリンフィルをやめた方のようでした。やっぱり一本筋が通っていました。
タワーレコードから限定発売ですが、youtubeでもどなたかがアップしているので視聴可能です。無料で素晴らしい演奏を是非お聞きくださいませ。