誰しも思い出の曲というものはあるでしょうから、これを良い音で聴けたらこの上ない宝物になるでしょう。
オーディオ好きは機械に凝りますが機械なんて所詮工業製品にすぎません。いくらお金をかけても大きなホールで聴くシンフォニーやバイオリンの美しい音色は再現なんて出来っこありません。
それに近い音は実はその人の頭の中で鳴っている美化された音ですから小林秀雄が昔いみじくも言った「耳には耳の知恵がある」で、耳にはどのような音を作る能力もあるということなのです。
すると大事なのは演奏そのものということになり、私たちはいったいどんなレコードを聞くべきかということが最も大事になってまいります。
私はクラシックに主眼を置いて聴いていますので、勢い、名演奏家の名盤はどれかということになります。
そこでお勧めはいくつかあげますと、まず死ぬまでにこれは聴きましょうというものの三本の指に入るレコードにミシェル・コルボさんの指揮のフォーレのレクイエムが挙げられるでしょう。
これは昔フランスのエラートに録音された名盤で通常女性ソプラノを歌うパートを少年が歌っていて極めて美しいのです。録音10日後に変声期を迎えもうその声は聴けなくなってしまったのでまさに奇跡のレコードと言えますね。
フランスの大統領の死に際して国葬の時に演奏される曲としても有名です。
私が死んだら家族にはぜひこの曲を流して欲しいと常々話していますがどうでしょう。