今から40年ほど前に出現した日本のオーディオブームで、大手の家電会社が大量に作ったオーディオ製品が巷の電気店にはあふれていたものだったが、多くはアメリカのPX(米軍の売店)で消費されベトナム戦争の終結とともにあっという間に終焉を迎えてしまった。
当時はFM放送とレコードがオーディオの主役だったので各社からたくさんのレコードプレーヤーが発売され覇を競ったものだったが、意に反してそれ程音の良い物はなかった。
プレーヤーの主力は当時はベルトドライブからダイレクトドライブに移行しつつあり、コスパを競って毎月のように新製品がオーディオ店の店先に並んだものだった。
代表は今はなきパイオニアやデンオンそれにビクターや変わり種では中道などもあったが何と言っても頂点はナショナルテクニクスのSP10.
飛び切りの高性能で他社を寄せ付けず王者の貫禄だった。
小生も後に大枚払って購入したがどうにも音が悪い。
飛び切りのスペックを誇りデーター上は非の打ちどころがなかったがなぜか音が貧弱で悪かった。
そのほか超重量級のマイクロ精機の物もマニア垂涎の高級機でそこら辺の学生には手が出ずショーウィンドウに飾ってあるのを眺めるのが関の山。
それでも知人の所に聞かせてもらいに行くとこれも音はどんよりと重く、やたらに低音ばかりがずしんと来る印象でモーツァルトの羽のように軽い演奏が再現できていなかった。
フラフラと頼りないフローティングタイプのヨーロッパ製品と聞き比べると、音が空間に綺麗に消えていくあの感じがさっぱり出なく薄っぺらい平面的なつまらない音でした。
で結局日本の高級マニアはこぞって英国製リンの高価なLP12を買い求めました。
一関の有名なジャズ喫茶で使われていたのも多少は影響したでしょう。
そのうち御三家のトリオ・サンスイ・パイオニアはすっかり落ち目の三度笠になり下がり、輸出用ブランドのケンウッドだけが多少残ってはいるもののすっかり消えてしまいました。しかもそれらはほとんどがコスパ重視の安物ばかりでした。
結局本物は高くても残るのですね。
オーディオマニアと呼ばれる、音楽などさっぱりわからない青少年相手の大手メーカーは、売れなくなると内紛を繰り返し自滅し消滅して行ったのです。
それにしても昔は四・五万で買えたレコードプレーヤーが今ではすべて百万円単位!
これでは退職金をたんまりもらって退職した団塊世代でも難しそうですね。
音楽こそはすべての芸術の最高峰であるとは楽聖ベートーベンの言葉です。
小学生のうちに学校でいい音でクラシックレコードを聴かせてやりたいですね。
そしてプレーヤーはベルトドライブでフローティングタイプの外部振動をシャットアウトしたものに限ります。