レコードプレーヤーによる音の差はないというYoutubeの動画があったので面白く拝見しました。
年齢的にCD世代の若者のようで安物のレコードプレーヤーで比較しているようでした。
でもアンプやスピーカーを普及品の物で比較していても差がわかるのが意外とプレーヤーなのはご存じなかったようです。
古いオーディオマニアはレコードプレーヤーによる音の差をみんな知っています。
一時期回転数の揺れやS/N比などからレコードを載せるターンテーブルをベルトやアイドラーのようなゴム系で回すものよりも、直接ターンテーブルをモーターで回すダイレクトドライブ方式が優れているというメーカーの大宣伝で国産はもとより海外製のベルトドライブのプレーヤーが市場からすっかり駆逐されたことがありました。
先駆者のナショナル・テクニクスのSP10というプレーヤーが大ヒットして世界中に輸出されました。
それには雑誌でのオーディオ評論家なる、大きな声では言えないがパラサイトの影響も多分にあったようです。
でも実際買ってみるとどうにもベルトの方が音がいい。不思議でした。
卒業後しばらくして自分でそこそこの器械を買うことができるようになり、スイスのトーレンス社製のTD226と言うベルトドライブのプレーヤーを求めました。
新品で我が家に届いたその製品は箱から出すとなんと肝心のベルトが入っていません!
仕方なく我が家に昔からあったソニーのPS2410と言うプレーヤーのベルトを外し、長さを合わせるためにちょん切ってテープでつないでセットしてみました。
ウエストミンスターと言うイギリス製の大型スピーカーの上に置いたそのプレーヤーは一回転ごとにテープのつなぎ目に来るとゴトンと音がします。
それでも初めて出た音は忘れないほどいい音でした。
持ってきたのだ屋の店員さんと我を忘れてレコードを聞いたものです。
プレーヤーは回転する部分が本体からばねで浮かせたフローティングタイプで周囲のアコースティックフィードバックから逃れる設計になっていました。
そこで実験でふわふわしたターンテーブルと本体にある隙間に新聞紙をはさんでみました。
すると突然音が死んだようになりつまらない音になってしまいました。
ふわふわしたフローティングがいかに効果を発揮しているかとの証明が出来た瞬間でした。
ベトナム戦争の終結とともに日本のオーディオブームが去り、オーディオメーカーもあらかた消滅した今日本で見られるのは外国製のフローティングのベルトドライブが主です。
部屋中に溢れる振動から守らなければいけないのは針先で拾った振動を効率よく発電してやることです。
そのためにプレーヤー本体をふわふわにしてターンテーブルもベルトでモーターの振動から守ってやる必要があるのです。
モーターで直接ターンテーブルを回す方式はメリットが一つもないだけではなく悪さがダイレクトに波及する恐れ大なのです。
我が家には都合8台ものプレーヤーがくるくる回っていますが、どれもベルトないしはアイドラーあるいはその両方で駆動するものばかりです。
50年もこの趣味をやっているとYoutubeの間違いに異議を唱えたくもなりますが、まあそれも良かろうはっはっはです(笑)。