先ほどヤフオクで落札したレコードは一聴して奏者の尋常ならざる技量に大げさに言えば息をのむものでした。
ショパンの第一協奏曲と第二協奏曲はともに名曲として古今東西たくさんのレコードが出ていますが、私のお気に入りはクリスチャン・ツイマーマンがショパンコンクールを若干17歳で制した後ソ連から亡命した指揮者のキリル・コンドラシンがデンマークの名門オーケストラコンセルトヘボウを振った時のもので、ショパンの青春のはかない抒情を奇跡の名演で弾き切った同作の代表と評価するものです。
後にツイマーマンは自身の弾きぶりでドイツグラモフォンに再録していますが同じ奏者とはとても思えぬ駄作で、ショパンの叙情性が皆無なのには驚きました。
さらに驚くことに名曲この一枚と言う雑誌に評論家の推薦する一枚として大推薦されていたことです。
評論家さんは雑誌社やレコード会社と付かず離れずというよりは一心同体にあると容易に想像ができます。
評論家としての魂を売り渡したような乞食根性には全く持って情けないの一言しかないのです。
音楽評論家でも何でもない俵幸太郎氏が口を極めてこの演奏を非難していたので我が意を強くしました。
ツイマーマンは表現力を深め様々な作曲家にチャレンジしています。追っかけとしてサントリーホールからヤマギンホール迄聴きに行きましたが思ったほどの円熟味は深まっていません。残念です。
このたび落札したのはフランスのピアニスト、クロード・カーンとアメリカのアビー・サイモンの二人。
どちらもアルゲリッチやポリーニとはまるで違ってうるさくない。がさつでないのです。
レコード盤に針を落とした瞬間にショパンの精神が身体にしみてまいります。
カーンは自身の名を付けたコンクールも持っていた大ピアニストでしたがレコードは自分の演奏だけをいれた極めてマイナーなレコード会社で好事家からいただくほかありません。
でもサイモンはたくさんのレコードやCDを出しているので一度お聞きいただければと思います。
この演奏を聴けば一般の大メーカーのレコードはすべてコンビニの袋菓子程度に感じるでしょう。
いつでもどこでも買えるけど大して美味しくなく栄養も偏っている。
音楽愛好家はぜひご自身の耳でご確認ください。