伊藤慎一のつぶやき

仙台市にあるセントラル第一歯科クリニック院長のブログです

剣豪作家とオーディオ

新潮社の礎を築いた大編集者、齋藤十一の伝記を読んでいます。

 

戦時中は丙種合格で体力不足のため兵隊に行かずに新潮社の倉庫で世界の名だたる文学全集をすべて読みつくすのに専念していたのが幸いし、戦後の新潮社の再出発に際し名だたる作家を起用し新潮を日本一の雑誌社にした伝説の人物です。

 

作家と会うことはほとんどなく、わずかに小林秀雄と川端康成だけに会っていました。

 

貧しい文学青年だった五味康佑は天分を認められて作品をものにしましたが送った原稿を読んだ齋藤十一ははがきに「読んだ。没。」としか書かずに送り返したとか。

 

生活のために書かせた剣豪小説で柴田錬三郎とともに鉱脈を引き当て人気作家になりました。

 

しかし純文学へのあこがれが強い五味康佑は忸怩たる思いを払拭できず、得たお金をすべて高価な外国のオーディオ機器とレコードの購入に充て思いを慰めていました。

 

そのためか他人のオーディオに対する誹謗中傷がひどく、だいぶ嫌われたのではないでしょうか。

 

その後自分の運転する車で老人と孫娘をひき殺すという大惨事を引き起こし作家声明を自ら断ちました。

 

人を呪わば穴二つ。

 

くれぐれも他人には優しくありたいものです。

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ネットに出ていた五味康佑の自宅オーディオ装置。

どれも当時のサラリーマンの年収何年分でも買えない高価なものばかりでした。

現在は練馬区の公民館で聴くことができます。