その昔、歯医者の言うことは千に一つの間違いもなく患者は黙ってそれに従うものだという誤った意識が歯科医と患者の双方にありました。
でも昨今は情報の共有化と患者の権利意識の向上でセカンドオピニオンやサードオピニオンを求めて患者さんが街をさまようことになりました。いいことには間違いありませんが中立的な意見を言ってくれるところがどこかと言う大問題がありますね。
大学病院は昔は利益度外視で診療して大赤字でも国が何とかしてくれるという安心感が当事者にはありましたが、一変して今は独立採算制で利益追求型になりました。自分の食い扶持は自分で確保しろと言うことですね。
インプラントのような高度医療は格好の収益源ということで下手をすると街場の歯科医院よりも高額になっていますが患者は知りません。
何症例かお願いしてその医療費の高さに驚いたことがありました。
潔くHPで料金体系を表示すべきでしょう。
だいぶ前に欠損部にインプラントを希望されて来院した患者に説明して、ガイド迄発注したところで親の介護で遠くに行くと連絡がありそれきりになった方がいました。
でも数か月後に来院し頭が痛いので見てほしいと言われて口腔内を見たところもうインプラントが入って仮歯まで装着していたのでびっくりした経験があります。
レントゲンで上顎洞に飛び出たインプラントがありこれが頭痛の原因だと知りました。
患者さんはセカンドオピニオンを受けてそちらで治療を受けたようです。
受けた治療は仕方がないので、急いで大学病院に行って飛び出たインプラントを撤去してもらうように指示しましたがそれからは連絡がありません。
その後数年して亡くなって医療争議になっていると聞きました。
歯科医にも患者にも双方に不幸な事例です。
近代インプラントの創始者であるスウェーデンのイエテボリ大学のブローネマルク先生はあなたを信じてくれる患者だけを扱いなさいと言っていましたが、言葉巧みに患者をインプラント治療を含む自費治療に誘導する歯科医院は多い。皆慈善事業でやっているわけではないからです。
以前アイドル歌手と結婚して話題になった歯科医は上下の前歯だけを審美治療してさんざん稼ぎまくりそこからいなくなりましたが、一般歯科医療の質が悪く後始末に周りの歯科医は非常に苦労したそうです。先輩から聞きました。
そろそろ高額医療に対する相談窓口を大学が担ってくれることを願います。