ドイツのバイオリニスト イザベル・ファウストの演奏を聞いてきました。
バックはNHK交響楽団で曲はベートーベンのバイオリン協奏曲。
普通、女性バイオリニストは肩を出したりきらびやかな衣装で登場し、悪く言えば女を売っている(^^);風情を醸し出すのですが、彼女はデビュー時から短髪でシンプルな衣装を着ることが多く、この日も刈り上げたような短髪にオバQのようなふわっとした衣装でした。でも花柄が可愛かったのがすこし女性らしいと言えば女性らしいとも言えました。
その彼女の演奏ですがこれが今まで聞いた数多くのコンサートの中でもまごうことなくナンバーワン!の演奏でした。
とにかくバイオリンのストラディバリウスが歌う歌う!
第二楽章のカデンツアが今まで聴いたことのない斬新なカデンツアでいったいどなたの物だったのでしょうか。
ベートーベンに共感したと強く思われる情緒がきらびやかにまき散らされた、と表現は変ですが(^^);、サントリーホールで聴いた世界文化賞受賞のアンネ・ゾフィー・ムターや円熟期に入った五嶋みどりを凌駕した超絶の名演だったと思います。
さすがに30歳にしてベルリン芸術大学の教授に就任されただけのことはあります。
彼女のバッハの無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータは世界中で大評判になったのでレコードを買いましたが、それほど世間で激賞するものでもないなという感想だったのでこの度のベートーベンには心底驚きました。
帰ってから20年前に録音した同曲のCDをネットで購入し聴きましたが同じような鮮烈な演奏でも実演の方がはるかに進化していました。
缶詰音楽ばかり聴いていると一人の演奏家の深化にいつまでも気づかずに終わりそうです。実演を聞きましょう。
どこかで聴く機会がありましたら是非どうぞ。今年は12月にも来日する予定です。