後輩から行く必要ありませんよと忠告されていた地方のオーディオショップ兼ジャズ喫茶がある。
実家の畑の草取りを終えてそのまま家に帰るのも退屈なので、
車で三十分ほどのそのショップに愛車を飛ばして行ってきました。
お店は自宅兼用のものでガラス戸からのぞくと何やら得体のしれないスピーカーがありました。
お店に入り眺めてみると左右のユニットが異なる子供の夏休みの工作よりひどい代物です。
机の上の電話番号に電話をするとしばらくして店主のおじいさんが戻ってきて講釈を聴きました。
世の中のオーディオは高すぎるので初任給で買えるものを研究しているとのこと。
でもがらくた(失礼)を初任給で買う好き者はいないでしょう(笑)。
隣の部屋には手製のべニアで囲った調理場と喫茶店らしきしつらえがあり、
店主入魂の作品と言うUSO800というネーミングの大出力パワーアンプがありました。
世界最高の音だがたったの十五万円だそうです。
名前を読めば嘘八百と読めます。どこまでが本気でどこからが冗談なのかは不明です。
そこにはスフィンクスと名付けた素焼きの瀬戸物を身にまとった左右のスピーカーが異なる
異様な物体があります。
これ以外には考えられないフィールド型スピーカーと自作を褒めていましたがどうみても
ごみ置き場から拾ってきた廃棄品。
さんざん褒めて帰り際にコーヒー代として五百円払ってきました。
これで今夜のおかずが買えますと相好を崩していたので良いことをした気分になりました。
人助けと言うのはいつでも気持ちがいいものです。